インドネシアに商用などで入国する際に必要な査証(ビザ)の代理申請をしている国内の企業2社が、在日インドネシア大使館(東京・品川区)の日本人男性職員(50)の口座に、多額の資金を振り込んでいたことが読売新聞の調査でわかった。

 総額は2006年までの5年間で約2000万円に上り、うち1社は資金提供がビザ発給のリベートだったことを認めている。不正競争防止法(外国公務員への贈賄)に抵触する可能性があり、捜査当局も情報収集している。

 問題の企業は旅行会社「ナショナルビジネスサポート(NBS)」(中央区)と、インドネシアの大手石油会社の関連会社「ファーイースト興産」(港区)。

 読売新聞の調べによると、問題の日本人職員は10年以上前から同大使館のビザ発給業務を担当し、大手銀行に開設した個人口座には、この2社から月10~30万円が振り込まれていた。確認できた06年までの5年間ではNBSから約1400万円が、ファーイースト興産からは約600万円が入金されていた。

 同大使館にビザを申請する際の正規の手数料は2500~1万1500円で、ファーイースト興産によると、この日本人職員から手数料とは別に申請者1人当たり4000円を要求されて口座に振り込んでいた。

 通常、どの国でもビザの申請から発給まで数日から数週間が必要とされるが、同社は「職員の権限は絶大でビザを即日で取得できることもあった」として、ビザ発給の便宜を図ってもらう見返りに資金提供していたことを認めている。

 NBSの社長(59)は資金提供の事実は認めたが、「顧問料みたいなもの」と話している。業界関係者によると、同国のビザの代理申請をしている企業は国内に約30社。NBSの申請数は年間5000件前後で、全体の半数を占めるという。

 不正競争防止法は、贈賄相手を「外国公務員」としているため、大使館採用の問題の職員は対象にならないとみられるが、資金がインドネシア政府関係者に渡った場合などは抵触する。

 この職員は「誰かに便宜を図ったことはない」と語り、同大使館は「取材には応じられない」としている。

 ◆捜査当局、可能な限り解明を◆

 外国公務員への贈賄禁止条項は経済協力開発機構(OECD)加盟国が「外国公務員への贈賄防止条約」を締結したのを契機に、1998年、不正競争防止法に盛り込まれた。

 国際的な商取引の公正性を確保する狙いがあるが、日本で立件されたのは昨年3月、電設大手「九電工」の子会社がフィリピン捜査当局幹部2人にゴルフクラブセットを渡したとして罰金などの略式命令を受けた事件だけ。背景には、わいろの提供先の事情聴取が困難で趣旨などが解明できないという事情がある。

 今回は、提供先が大使館採用のスタッフで「外国公務員」にあたらないとみられる一方、日本人であるため、外国公務員と比べ容易に事情聴取できるという面もある。捜査当局には可能な限りの解明を期待したい。

Posted by Takumi

2008/03/31 09:00 2008/03/31 09:00
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