▼急激なルピー高 ルピーの対ドル相場は対印投資の増加などを要因に今年に入り10%近く上昇し、1ドル=40ルピー台半ばで推移。安い労働コストを武器に米IT各社の4割という低料金で海外企業から契約を獲得してきた印IT産業に打撃を与えている。 大手のタタ・コンサルタンシー・サービシズやインフォシス・テクノロジーズは4~6月純利益が前年同期比3割以上増えるなど好調を維持したものの、ルピー高への抜本的対応を迫られている。PTI通信によると、ラマドライ最高経営責任者(CEO)はサービスの改善で対価を引き上げるとともに、海外展開を加速するなど、抜本的な対策を講じる考えを示した。 業界団体のインドソフトウエア産業協会(NASSCOM)は「ルピー高への対応は困難で、IT産業の成長に悪影響を与える」(カルニク会長)と懸念を強め、政府のIT振興策拡充などを求めている。 ▼米IBMなど逆襲 ルピー高と並び、印IT産業を苦しめているのが、IBMやエレクトロニック・データ・システムズ(EDS)、アクセンチュアなどインドに進出した米国勢だ。印各社が格安の単純サービスを提供してきたのに対し米企業はコンサルティングなどを組み合わせた高度サービスを売り物に、インド国内で契約を次々と獲得。IBMは10%のシェアを握る最大手となった。 米誌ビジネスウィークによると、同社はインドに62億ドル規模の研究開発(R&D)投資を行い米国以外では最大のR&D拠点をバンガロールに構築。さまざまな新サービスを開発するとともに、印各社のお株を奪う低料金サービスも拡充している。 NASSCOMは7月末のリポートでインドのIT産業が技術革新を怠れば競争力は維持できなくなると警鐘を鳴らした。 ▼ルピー高を逆手に ルピー高は印企業の輸出にマイナスに働くが、外国企業の買収は容易になった。 印3位のウィプロ・テクノロジーズは6日、データセンターなどのIT設備管理大手、米インフォクロッシングを、印IT企業による外国企業買収では過去最大の6億ドル(約714億円)で買収すると発表した。不足していたITインフラ機能を補完する狙いだ。 これに続き9日には、3カ月以内に米ノースカロライナ、テキサス、バージニアの3州にソフト開発やアウトソーシング拠点を設け、米国市場に本格攻勢をかける計画も明らかにした。 英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、同社のバネルジー社長は「総合的なサービス提供に向け、自社の設備や能力の評価を続けており、(不足を補うため)今後もより大きな買収を行う」としている。 米調査会社ディーロジックの調査によると、今年、印各社が実施した外国企業の買収は14億3000万ドルに上り、すでに昨年1年間の2倍に達した。ルピー高によって以前より少ない資金で買収できるようになったためだけでなく、事業領域や海外事業拡大で米企業に対抗する狙いを込めたものとみられる。 FTによると、印IT企業のキャッシュフローは300億ルピー(約880億円)と豊富で、外国企業に対する買収攻勢は一段と強まるとみられている。
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Posted by Takumi



