国際的なブランドコンサルティング会社「インターブランド」が昨夏、米ビジネスウイーク誌と共同で発表した2006年版「世界ブランドランキング」で、トヨタ自動車のブランド価値は279億4100万ドルと前年の9位から7位に上昇し、3年連続で世界の自動車ブランドで首位を維持した。トヨタの高級車ブランド「レクサス」も30億7000万ドルで92位に入っており、両ブランドを合わせるとトヨタはフィンランドの携帯電話ブランド「ノキア」の301億3100万円を抜き、6位になる。


インターブランドジャパンの(右から)中村正道シニアアカウントディレクター、田中英富エグゼクティブコンサルタント、瀧本祐子トレードマークコンサルタント

インターブランドジャパンの(右から)中村正道シニアアカウントディレクター、田中英富エグゼクティブコンサルタント、瀧本祐子トレードマークコンサルタント



 ★2006年世界ブランドランキング(ビジネスウィーク誌/インターブランド社調べ)

 リポートによると、トヨタはガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせたハイブリッド車「プリウス」などで「洗練された信頼感」を獲得。レクサスは米国、欧州に続き日本でも販売されたことで、世界的な販売網が整ったと評価されている。

 1974年にロンドンで設立されたインターブランド社は、各ブランドの決算データや、米投資会社による将来の利益予測から、ブランドの持つ力や企業収益への寄与度などを勘案し、インターブランドが算定した割引率を当てはめてブランド価値を算出。2000年から独自のブランドランキングを公表している。

 企業の価値を計る尺度は売上高や株式時価総額などの財務データがよく使われているが、インターブランドジャパンの田中英冨エグゼクティブコンサルタントは、「世界的にブランド価値が企業そのものの強さを表し始めている」と言う。

 2006年度のランキングは、首位がコカ・コーラ、2位がマイクロソフト、3位IBM、4位ゼネラル・エレクトリック(GE)、5位インテルと米国勢が5位まで独占しており、日本ではトヨタが最高位。田中氏は「トヨタこそ、真の意味でグローバル化を達成した日本のブランド」と指摘する。

 田中氏は昨秋、トヨタ自動車のブランド戦略の基本概念を尋ねたところ、同社幹部は「業界の先頭を走るダイムラーベンツやBMWなどの路線を後追いしても勝てない。日本企業として、全く新しい視線から戦略を立てる必要があった」と答えたという。こうして打ち出されたのが、プリウスの「人間と環境の調和」であり、レクサスの「日本らしい高品質」だった。

 自動車という成熟した工業製品にとって、デザインの付加価値を高めることがブランド戦略の基本となる。また、似たような性能と価格の製品がかち合った場合、「決め手となるのは、信頼感、親近感、ステータス(地位)などの『情緒的な価値』だ」と田中氏は指摘する。

 他の自動車メーカーに目を向けると、ホンダが欧米市場での高評価を背景に19位につけたものの、日産自動車は90位で韓国の現代自動車(75位)の後塵(こうじん)を拝し、他の自動車メーカーは100選から漏れている。

 韓国勢は、自動車と並ぶ日本の基幹産業の電機分野でも互角の情勢だ。2006年度のランキングでは、サムスン(韓国、20位)、ソニー(26位)、キヤノン(35位)、松下電器産業(77位)、LG電子(韓国、94位)と日韓が入り乱れる。

 日本勢を抑えたサムスンは、日本では安価なイメージが持たれているが、米国市場などでの受け止められ方は大きく異なる。好調な液晶テレビで存在感を発揮し、1990年代後半からブランド戦略を進めてきた携帯電話端末も、洗練されたデザインで若者向けにアピールしている。

 国際的な工業デザイン学会で自社製品をズラリと並べるのは、優れたデザイナー確保するためだ。国際見本市でも、これまで日本企業が陣取っていた中心スペースにブースを構え、先進的なデザインで日本企業をうならせる。

 「日本企業は目標として売上高や市場シェアなどの数字を掲げるが、サムスンは企業ブランドのイメージのランキングで世界ナンバー3に入ることを目指している」。つまり、ブランド力向上への企業姿勢が違うのだ-と田中氏は指摘する。

 例えば、高いブランドイメージを築くために、製作と販売部門が一丸となり、商品開発から販売、宣伝まで取り組むシステムを採用。技術者と営業、広報担当が企画の段階から合同で自社製品の開発について綿密に話し合いを重ねるといい、あくまでブランド力を軸に商品を生み出そうとしている。この手法は膨大な宣伝広告費がかかるが、サムスンには「ブランド力が上がれば商品の売り上げは確実に伸びる」という確信がある。

 自動車も電子機器も、日米欧韓の製品間で機能や性能はほとんど変わらなくなった。雌雄を決するのはブランドイメージという市場環境で、日本勢はじりじりと韓国勢に詰め寄られている。政府の知財戦略本部は「食」「地域産業」「ファッション」「コンテンツ」など新分野の産業振興を打ち出したが、日本の得意分野である自動車、電機分野の地位は大きく揺らいでおり、こうした分野の日本ブランドも再構築が急務だ。

Posted by Takumi

2007/05/14 10:39 2007/05/14 10:39
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